「品川心中」の雨

東京の梅雨入りが伝えられました。
今日もよく降っているというか、なんか豪雨がきそうな雰囲気もあります。
埼玉から電車でくると王子のあたりで飛鳥山の紫陽花が見えます。
この時期になると見事に咲き誇り、電車からの観賞をいつも楽しみにしています。
紫陽花という花は不思議ですね。
雨の中で見るとほんとうに綺麗なんですが、照る日にみるとくすんでみえるんですね。
人間の中に、雨に映える人、なんているんでしょうか。
さて先日「雨がでてくる落語は思いあたらない」と書きましたが、ありました、ありました。
三代三遊亭金馬の「品川心中」で本屋の金造(勝手に書きます)が、座敷で心中相手のおそめさんを待つ、場面。
時間をもてあましいる、ところで雨がでてきます。
「タバコがなくなっちゃった。火も消えて蛍のケツみてぇだ。ビシャビチャ雨が降り出したなぁ。傘がねえんだ。帰ることもできねなぁ。」と言って、次ぎに続く行に大笑いします。
「タバコはなくなる火は消える、雨は降り出す傘はなし。命に別状ないばかり、だよなぁ」
この一言に金造の人となりが凝縮されているように思え、雨の音を聞きながら女をまつ姿が見えてくるようです。雨の音さえ聞こえます。それはやはり古今亭志ん朝さんが指摘した「立て板に水」の三代金馬の語り口のせいでしょう。
たぶん金造が聞いた雨音は、6月頃の雨じゃないかとおもっているのですが。
違うかな。

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